2013年1月28日月曜日

降矢奈々のコペンハーゲン展・レポート その3

さて、今日は
昨年11月に開催されたコペンハーゲン展を訪れた
降矢奈々さんによるレポートその3、最終回です。
ドキドキのワークショップの様子は、
どうだったのでしょうか。。。


降矢奈々のコペンハーゲン展・レポート その3


 みなさんは、このコペンハーゲン・レポートを読んで、私がデンマーク語、
もしくは、英語、独語がぺらぺらと思われているでしょう。

しかし、それは大きな誤解です。

勤勉とは言いがたい私は、母国語以外の言語能力は
きわめて低いと言わざるを得ません。

しかも、小さい頃からなじみの母国語でさえ、いちおう喋れますが、
それでも度々「言ってることよくわかんないんだけど」と言われます。

スロヴァキア生活20年のスロヴァキア語も、とても下手。 
私のいちばんの悩みは、英語を喋ろうとすると、
スロヴァキア語が出てきてしまうことです。

以前、アメリカ人と向き合っていて、数字・・・数字ですね、
ワン、ツー、スリー、・・・という。それがなぜか口から出ると、
スロヴァキア語の単語になってしまう。焦れば焦れほど、
まったく変換不能になってパニクッたことがあります。


長々とすみません。で、ワークショップです。


 そういう訳なので、最初はこういうイベントをすべて断ろうと試みて
いたのですが、やはりお世話になっている手前、断りきれなかった。

せめて1つくらい、ということで、滞在中に1回、
子ども向けのワークショップをすることにしました。

ことばの問題に加え、会場の様子や参加者の年齢、
人数などの事前情報がまったく手に入らなかったことから、
複雑なことをするのは無理と判断し、



行く前に、このような企画書を作り、
マークさんにメールしました。

そして、家で布にこのような木を描き、
準備万端でコペンハーゲンへ向かったつもり・・・。




 当日の開始時間は、午後1時から。

約2時間のワークショップと決まっていたものの、
どうやら子どもたちは三々五々に来るらしいと
わかったのは、もう1時を過ぎてからでした。

イラストレーターズ・クラブのメンバーが
手伝ってくれると言ってますが、彼らには
彼らのやりたいプログラムもあるようです。

子ども連れの家族が、机の上に置いてある画材を適当に取って、
空いてる場所に座って、好きなことをしています。
すべてがアバウトのようです。

準備万端、大勢の子どもたちを前に何をどうするか、
脳内シュミレーションをくりかえしてきた私には、
まったく予想外の展開でした。

悲観的になってもこの先まだ2時間弱の時間は
ありますから、どうしたら良いものか・・・。

こちらもアバウトでいこうと、
ぼんやりしている親子のところへ行って
「ハロー」とにこやかに誘い込むことにしました。




「こんにちは。私は日本から来ました
(ほんとうはスロヴァキア在住だけど)。
ところで、去年、日本でおこった大震災と原発事故のことは、
知ってますよね?」から始める。

 するとやさしいデンマーク人は、
すぐに真剣な表情になり答えてくれます。

「ええ、知っているワ。おそろしい出来事でした。」

ほとんどの大人は英語ができるようで、
私の言葉をすぐに子どもたちにデンマーク語で伝えてくれます。

「デンマークのみなさんの手型を葉っぱにして、
大きな希望の木を作りたいのです。
私はそれを日本へ持って帰ります。
だから、良かったらあなたの手で葉っぱを作って、
あの木に貼ってくれますか?」

「もちろんよ」

「手の葉っぱには、あなたの名前、
もしくはあなたの好きな言葉を書いてね。
もちろん絵でも良いのです。
日本の人たちに伝えたいことを書いてくださいね。」

「わかったわ。どの紙を使ったら良いのかしら?」

「4色あるから、好きな色を選んでください。」

(こんなふうに脚色するから、語学の達人と誤解されるのだろうな・・)











 誰かが作っていると、「私もやりたい」と
誰かが声をかけてくれます。

さっき葉っぱを作った女の子が、木の枝に貼って
ある自分の葉っぱをもう一度見に来ました。

イラストレーターズ・クラブやBIBIANAデンマーク
の人たちも参加してくれましたよ。





 裸ん坊だった木がこんなふうになりました!




 いっしょに記念撮影は、イラストレーターの
Jesper Tom-Petersenさん(左)と  Lars Munckさん(右)です。

 みなさん、いっしょに作ってくれてありがとう。
この木は、ちゃんと日本へ送りますからね。

 ということで、コペンハーゲン・レポートはこれにておしまい、


とっぴんぱらりのぷぅ。









 さよならコペンハーゲン。

 みなさん、3月1日から始まる日本巡回展を
どうぞ楽しみにしていてくださいね。


降矢奈々




「さよならコペンハーゲン。」

これで、3回にわたってお届けしたコペンレポートは終わります。
ご協力いただいたJesper Tom-Petersenさん、Lars Munckさん、
マークさん、そしてデンマークのみなさん、
日本へのあたたかい気持ちを、ほんとうに、どうもありがとう!
たくさんの人に、どうか届きますように。

(さかた)


2013年1月21日月曜日

降矢奈々のコペンハーゲン展・レポート その2

今日も、前回につづきまして、
昨年11月10、11、12日と3日間
「手から手へ」コペンハーゲン展を訪れた、
降矢奈々さんの現地レポートをお届けいたします。


降矢奈々のコペンハーゲン展・レポート その2

 10日の午後は、第二展示会場のブックフェアへ行きました。
ブックフェアの会場は、BIBIANAデンマーク・オフィスから
歩いて5分ほどのBellaセンターの敷地内にあります。


 Bellaセンターのオーナーは、デンマーク国内の
風力発電機生産シェアで第一位のVestas社です。

なので、敷地内にはりっぱな風車が。

また、風車の羽が1枚、
オブジェのように展示されていました。

で・でかい!





 日本でもおなじみのこのマーク、


 1975年デンマーク生まれって知ってましたか?



生まれたばかりの頃は、こんなだったそうです。

 現在、デンマークの風力発電の割合は、約20%です。
その他は、石炭、天然ガスなどの火力発電で、原発はありません。
2020年までに、風力を40%まで上げるのが目標。
洋上風力発電の建設に力を入れているそうです。

このような国での展覧会が、「手」展ヨーロッパ巡回の
最終地になったことは、未来を暗示しているかな?
  
そうそう、第1回目は、国民投票で
「原発NO!」を表明したイタリアでしたね。








 ブックフェア会場って、どの国も似たように見えます。

ここでの特徴は、北欧の出版社が多かったことかもしれません。



ハルキ・ムラカミは人気があるのね。

あ、手がいっぱい!



デンマークの昔の写真がパネル展示・・・
そこから、1枚おまけ。


 ここが「手から手へ」展のブース。





 デンマークのイラストレーターズ・クラブが、
自分たちのブースのスペースを半分、
「手」展のために譲ってくれたのです。

イラストレーターのみなさん、ありがとうございます!


  www.illustratorgruppen.dk


 ブックフェア開催中の3日間、BIBIANAデンマーク
の人たちは、交代で会場に常駐し、訪れる人たちの
質問にていねいに答えていました。       




その誠実な様子に、私は、自分たちのやって
いることへの責任を再確認させられたのです。

「手から手へ」ヨーロッパ巡回展は、大きな展覧会ではありません。
しかし、巡回展の行われた各地では、
現地の人たちの助けなしには何も実現しませんでした。
みんな、日本のこと福島のことを思っての無償の行為です。

そして、今、私たちには、その人たちとのつながりができました。
その人たちを裏切ってはいけない、がっかりさせてはならない、と  
  強く思うのです。これから先も、志を同じく皆とつながり続けていきたい。

だけど、それを続行させていくことって、ほんとうに大変です。





ここはブックフェア会場の子どもイベント・スペース。

明日の11日は、私がここで、ささやかな
「手から手へ」展ワークショップをやります。

ドキドキドキドキ・・・・。   


つづく

(降矢)


心臓ドキドキの降矢さん、、、どうなるのでしょうか。。。

みなさまもぜひ、ご感想を、
記事の下にあるコメント欄に投稿してみてくださいね。
書き方が分からないよ〜という方、ご安心ください。
下に記入方法を書きました。
たぶん、あっていると思います。。(ちょっと不安ですが。^^)
参考にして、チャレンジしてみてくださいね。

また、降矢さんをはじめ、手から手へ展の出品作家を
日本展公式サイトでもご紹介しています。
こちらもあわせて、ぜひ、ご覧ください。

それでは次回、コペン展レポートその3、とうとう最終回です。
ひきつづき、どうぞお楽しみに!

(さかた)


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2013年1月18日金曜日

降矢奈々のコペンハーゲン展・レポート その1

 先日、ヨーロッパ展の最終巡回地であるコペンハーゲンを
訪れた降矢さんから、現地レポートが届きました。
ということで、今日はできたてホヤホヤの速報!
"降矢奈々のコペンハーゲン・レポート"をお届けいたします。


降矢奈々のコペンハーゲン展・レポート その1


 「手から手へ」ヨーロッパ巡回展の最終地は、
デンマークのコペンハーゲンでした。
11月1日から12月1日の一ヶ月間、WMマウンテン・ビル
1階にあるBIBIANAデンマーク・オフィスで開かれました。
また、開催期間に重なる、11月9,10,11日は、
コペンハーゲン国際ブックフェア会場にも、作品の一部を展示。
デンマークのイラストレーターズ協会の協力を得ての実現でした。

 という訳で、11月10,11,12日の3日間の
「手から手へ」コペン展現地レポートです。

 コペンハーゲンという所は、国際空港から旧市街の間に
だだっぴろい新興住宅地が広がってます。
開発途中の敷地、野原、一戸建て住宅の列。
そんな中に、にょきにょきととてもモダンな建造物が幾つも建っています。
「手」展の会場になったWMマウンテン・ビルは、そんな建物の一つです。



 ブックフェア会場のBellaセンターは、こちら。
これを見て、初代ウルトラマンの科学特捜隊本部
を思い出すのは、私だけ?          





 10日の午前10時半。住所と地図をたよりに会場へ
たどりついた私を迎えてくれたのは、BIBIANAデン
マークのマークさん(ダジャレじゃなくて)です。

早くも犬を連れたお客さまが来ています。




 お、看板のペンキを塗りなおして
いた最中でしたか。ごくろうさまです。

 マークさんがお客さまと話している間、
外から会場を パチリ、パチリ。





 そして中に入ってからも、パチリ、パチリ。
オフィスだからちょっと雑然としてますね。





 「手」展のコペンハーゲン開催に協力してくれたのは、
BIBIANAデンマークという子どものための文化活動を
サポートする団体です。その中で「手」展担当になって
くれたのが、マークさんです。           



マークさんは現役の大学生。

デンマークでは、大学生が在学中、
社会活動に参加するシステムがあるそうです。
彼は、学校で環境デザインを学ぶ傍ら、コペン
ハーゲン展実現のために奔走してくれました。

「日本でおこった大震災や原発事故には胸を痛めている。
この展覧会をコペンハーゲンで開けて良かった。」  
と話してくれました。               


つづく

(降矢)


オフィスや会場を提供してくれたBIBIANAのみなさん、
デンマークイラストレーター協会さん、そして
マークさん、たくさんの方にお世話になりました。
どうもありがとうございました!

デンマークのマークさん、、、ふふふ、
降矢さんのダジャレ(じゃない?)のおかげで、
もうばっちり覚えましたよ〜。

さて、現地を実際に訪れた降矢奈々さんの
充実のレポートは、ここからまだまだ続きます。
ひきつづき、どうぞお楽しみに。

(さかた)



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